消化器・肝臓内科

当科の特色

1. 当科の理念と診療実績

理念:「技術の習得」と「内科的診療」の両立 消化器内科の大きな特徴の一つとして、診療領域の広さがあります。対象臓器としては、上部・下部消化管、肝臓、胆道、膵臓にわたり、それらの臓器に生じる炎症性疾患、腫瘍性疾患が扱う対象の大部分となっています。各臓器の疾患を診断・治療するためには数多くの特徴的な検査・処置が存在します。内視鏡や超音波、X線透視など多様な機器を用いて穿刺、切開などを行う侵襲的検査・治療とともに、血液検査データを吟味し適切な薬物治療を行うなど、多様な技術、能力の習得が必要となります。図1

また実際の診療に際しては消化器のみならず他領域疾患に関連する症状、所見にも多く出会うため、広い知識と的確な診断能力が必要です。また救命のため緊急対応を要する状況に遭遇することが多いのも特徴の一つであり、迅速かつ的確な判断力が要求されます。加えて、消化器内科領域は、癌を含む様々な疾患の終末期に立ち会う機会も多い領域であり、患者さんの痛みに対するケアや、ご家族も含めた精神的、社会的な配慮についても経験を積むことができます。

当科では、下記にご紹介致します消化管班、肝臓班、胆膵班の3つのチーム内で各領域に精通した指導医のもと、専門の診療を取り組んでおり、高い技術と多角的な診療能力をともに高められる環境を提供します。臨床の現場では、上級医師やコメディカルスタッフと連携し、その場の判断力・論理的思考・応用力を養い、常に自己評価し、他者の評価を真摯に受け入れ自己の思考過程を軌道修正する態度を身につけます。また当科として務めていることは、女性医師が専門的技能を生かせる仕事と、結婚・子育てとを両立できる体制の確立です。現在は3名の女性医師が短時間勤務のスタッフとして外来診療と内視鏡検査・処置を主体に行っています。

  診療実績(大学病院)

・入院病床:60~70床

・内視鏡検査件数:上部約8000件/年、下部約5000件/年

・検査、処置件数(年間)

消化管癌内視鏡治療:食道20~30件、胃約100件、大腸約600件

肝癌治療:150~200件

内視鏡的胆道造影・処置:500~600件

図4

 

2. 当科の体制

① 消化管班(A班長・松尾康正 / B班長・山下真幸)

消化管(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸)の疾患を中心にチーム医療を行っています。

最新の内視鏡技術を用いた消化管がん(食道・胃・大腸)における早期診断と内視鏡的切除など積極的な低侵襲治療を取り組んでいます。

胃潰瘍や憩室出血による吐血や血便などに対して、緊急内視鏡による救命処置を行っています。小腸カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡などにより小腸疾患を経験することも出来ます。

消化管良性疾患(ピロリ関連胃炎・潰瘍など)に対する外来診療や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)の専門外来を設備しています。進行消化管癌により食事摂取ができない状態の患者様に内視鏡的ステントを留置するなど、終末期医療にも携わっています。

 

② 肝臓班 (A班長・松永光太郎 / B班長・池田裕喜)

肝炎(抗ウイルス療法)から肝硬変・肝細胞がんに至る一連の診断および治療を中心に行っています。造影超音波、MRI、CT、三次元超音波、弾性超音波等を用いた肝腫瘍の診断を行い,肝がんに対するラジオ波焼灼療法やカテーテル的治療を行っています。食道・胃静脈瘤に対する内視鏡および血管内カテーテル治療、そしてその他の肝疾患や門脈圧亢進症関連疾患の診断と治療にも取り組んでいます。

 

③ 胆膵班 (班長・中原一有)

ERCPや超音波内視鏡により胆道系および膵臓の診断を行っています。結石による胆嚢炎や胆管炎に対する内視鏡的治療(ドレナージや結石除去術)や膵、胆道癌の悪性狭窄に対するステント留置も積極的に取り組んでいます。

最近では、バルーン内視鏡を用いて通常の内視鏡ができない胆道・膵・胃の手術後の患者様も、小腸用のバルーン内視鏡でERCPを行うことが可能になりました。超音波内視鏡を用いたInterventional EUSにより消化管の壁を通して、組織採取や胆膵管・胆嚢・腹腔内膿瘍のドレナージを行っています。

3. 教育プログラム

A. 消化器・肝臓内科以外の専門医を目指す内科専修生の研修>

ローテーションプログラムの1例

研修  1年目・2年目:多摩内科を6ヶ月、消化器・肝臓内科を専修4ヶ月、その他の期間は救命センター研修を含めた内科各領域で受持ち症例集積を念頭に選択し、内科医としての基盤を形成する。

ただし、できるだけ早期に専門性を固定したい場合は、内視鏡センター、超音波センター、画像診断センターなどのローテーション(各2ヶ月)を同時期に選択することは可能です。

研修 3年目:大学病院(あるいは他の附属病院)の各診療グループ(消化管、肝、胆膵)をローテーションし、各領域のより高度な診断・治療技術を習得する。

 

一般目標

消化管や肝・胆・膵疾患を有する患者を受け持ち医としての立場でたずさわり、その疾患の病態を把握するために、適切な検査を計画し、診断出来る能力や適切な治療の選択および合併症に対応できる能力を習得します。

また全身疾患と消化器疾患との関連病態を把握し診断する能力を習得します。臨床の現場では、上級医師やコメデイカルなどと連携し、思考・判断力を培い、常に自己評価し、他者の評価を真摯に受け入れ自己の思考過程を軌道修正する態度を身につけます。

行動目標 

  • 内科専門医資格の取得に十分な内科各領域の症例を受け持ち、広い領域の知識を得る。
  • 必要な情報を収得しカンファレンスでプレゼンテーションし診断、治療方針を決定する。
  • 上級医、他科医師、コメディカルスタッフとコミュニケーションをとり、患者にとってよりよい医療を提供する。
  • 消化管・肝・胆膵各領域の代表的疾患を受持ち、各疾患の全体像が把握できる。
  • 消化器疾患ならびに関連する全身疾患の診断・治療方針立案が自立して行える。
  • 内科医としての基本的手技(中心静脈カテーテル挿入、気管内挿管、胸・腹腔穿刺など)が自ら行える。
  • 消化器領域の基本的検査・治療手技(上・下部内視鏡、経皮的肝生検、内視鏡的止血術、内視鏡的静脈瘤治療など)を主施行医として行える。
  • より専門的な検査・治療手技(内視鏡的逆行性胆道造影・載石、内視鏡的粘膜剥離術、経皮的ラジオ波焼灼術など)の介助ができる。

 

B. 消化病専門医を目指す内科専修生のための研修>

今年度からの内科研修プログラムの変更は新内科専門医制度への対応も念頭に置いているため、はじめの2年は多摩内科、救命センター、その他内科の各専門講座などをローテーションすることになります。その間に単科に所属できるのは最長4ヶ月ですが、1,2年目においてもローテーション先として内視鏡センター、超音波センターなどを選択することによりそれらの技術の基礎を収得することができます。後期研修3年目からは、当科の各診療グループに一定期間ずつ専属して、専門的治療・検査技術を習得し、緊急処置などに自ら携わることになります。

内科研修の期間に習得すべき技能としては、①上部消化管内視鏡検査の介助ならびに基本的操作法の実施、②下部消化管内視鏡検査の介助ならびに操作法の習得、③ERCPの介助ならびに操作法の習得、④腹部超音波検査の基本的操作法の実施と読影、⑤消化管造影検査、⑥腹部CT・MRI等の画像診断の読影について習熟することが重要と考えています。また冒頭で述べたように、扱う臓器が広範囲におよぶため、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医や胃腸科認定医など、高い専門性を追求した資格があります。これらを取得し、先進的高度医療や特殊医療を遂行する能力を備えるためには、消化管部門、肝臓部門、胆・膵部門を選択し、専門技術を取得することが望ましいと考えます。

*専門医/認定医取得について

現在、消化器関連の専門医取得は日本内科学会が定めた認定内科医の資格取得を前提とする二階建て方式です。今後、新内科専門医制度にともない、内科専門医資格の保有が必要となる可能性が高いと考えられます。以下に当講座所属員の多くが取得する専門医資格を挙げます。

  • 日本消化器病学会専門医:日本内科学会認定内科医の資格取得に必要な所定の内科臨床研修終了の後、日本消化器病学会が認定した認定施設もしくは関連施設において日本消化器病学会が定めた研修カリキュラムによる3年以上の消化器臨床研修が必要で、申請時に認定内科医の資格が必要。
  • 日本肝臓学会専門医:2年間の一般研修を終了後、日本肝臓学会または日本消化器病学会の認定施設における5年以上の肝臓病学の臨床研修が必要。申請に際しては認定内科医の資格を有することが必要。
  • 日本消化器内視鏡学会専門医:指導施設における5年以上の研修と上部消化管内視鏡検査1000例以上、下部消化管内視鏡検査100例以上、治療内視鏡20例以上の経験が必要で、専門医資格申請時には認定内科医の資格が必要。

*学会・研究会など(国内学会、国際学会)

学内の内科勉強会、日本消化器病学会関東支部例会の専修医セッション、県内で行われる各種研究会などでの発表を登竜門に、意欲や能力に応じて消化器関連の国内・国際学会での発表を積極的に行う。さらに希望があれば、英語論文作成の指導も受けることができる。

*進路

  • 大学院医学研究科に進学して学位を取得する(消化器・肝臓内科、大学内各基礎系教室など)。
  • 大学病院または分院のスタッフ(教員)として診療、教育、研究に携わる。なお、その過程で各領域のより高い知識、技術を習得するための国内研修も希望できる。

 

4. 主な一週間のスケジュール

週間予定 (大学本院の例)

時間
7:45〜 消化管週間Conference 消化管病理Conference   肝臓班入院症例

Conference

   
8:30〜 肝胆膵

Conference

消化管

肝胆膵Conference

消化管

肝胆膵

Conference

消化管

肝胆膵

Conference

消化管

肝胆膵

Conference

消化管

肝胆膵Conference

9:00〜  

病棟業務

検査

 

 

病棟業務

検査

 

 

 

 

病棟業務

検査

 

病棟業務

検査

 

 

 

 

病棟業務

検査

病棟業務検査
13:00〜  
16:30〜 新患

Conference

肝IVR Conference 肝臓班

症例検討

1700〜 部長回診   肝胆膵回診

拡大内視鏡

Conference

18:00〜 症例検討会   肝胆膵週間

Conference

肝癌Conference

内科、外科、放科、月2回

 

(平日週1日は外勤日)

5. 診療風景

 

6. 医局員の主な研修医療機関(初期臨床研修を含む)と資格

消化器・肝臓内科を希望する内科専修生は、原則として、下記に示します4病院のいずれかで研修を行います。いずれの施設も消化器病の専門医取得のための指定研修施設であり、各領域を専門的に指導できるスタッフがいます。

  • 聖マリアンナ医科大学病院(川崎市宮前区)
  • 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院(横浜市旭区)
  • 聖マリアンナ医科大学東横病院(川崎市中原区)
  • 川崎市立多摩病院(川崎市多摩区)

 

なお、各領域のより高い知識、技術を習得するための下記国内研修も希望することができます。

  • 秋田赤十字病院(下部消化管内視鏡)
  • 武蔵野赤十字病院(肝臓疾患)
  • 仙台市医療センター仙台オープン病院
  • 湘南藤沢徳洲会病院
  • 関東労災病院・横浜労災病院 など

7. 専門医及び認定医

臨床研修指導医(●)

日本内科学会認定医・総合内科専門医・指導医(●)

日本消化器病学会専門医・指導医(●)

日本消化器内視鏡学会専門医・指導医(●)

日本肝臓学会専門医・指導医(●)

日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医(●)

日本消化管学会胃腸科認定医・専門医(●)

日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医(●)

日本食道学会食道科認定医(●)

日本医師会認定産業医(●)

8. 関わりの深い診療科

1.   消化器・一般外科

当科で診断した消化器癌について消化器・一般外科医とともにディスカッションを行い、内視鏡的治療や外科的治療の適応を判断します。癒着性イレウスや胆嚢結石など良性疾患においても外科的治療を依頼することも多くあり、最も関わりの深い診療科と言えるでしょう。

2.   腫瘍内科

内視鏡的治療や外科的治療の適応のない消化器癌症例は化学療法を行います。腫瘍内科とディスカッションを行い、その治療方針を決定していきます。

 

9. 資料請求・問合せ先

 

聖マリアンナ医科大学 消化器・肝臓内科医局長 渡邊 綱正

mail;twatanab@marianna-u.ac.jp

 

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