【助成金獲得】福田記念医療振興財団

当教室講師で不整脈班の佐々木憲一先生が福田記念医療振興財団の共同研究で助成を獲得いたしました。
研究テーマ
【心房細動アブレーション後第1病日に施行した24時間ホルター心電図から得られた心房期外収縮の動向と慢性期の心房細動再発との関連性を調べる研究】


本研究はホルター心電図という言わば古典的な医療機器から得られたデータに基づく研究で
ある。ホルター心電図は基本的に24時間という記録時間、検査中は入浴不可などの制限はあるが、非侵襲的かつ手軽に長時間の心電図を記録できるという点で、依然、循環器外来で主流となっている検査である。また、1週間ホルター、2週間ホルター、携帯型心電計、スマートウオッチなど、従来の24時間ホルター心電図に代わるデバイスの使用も可能となっているが、解像度、得られるデータの多さの点で24時間ホルター心電図に及ばないのが正直な使用感である。
しかるに24時間ホルター心電図は、何らかの不整脈、例えば心房細動、心室頻拍、房室ブロックなどを見つけようとしてオーダーされるが、その限られた検査時間の中でそれらの不整脈が見つかることはむしろまれであり、検査の感度は比較的低いと考えられる。しかしながら、期外収縮数、期外収縮連発数、最大連発数など、常時得られる簡便かつ客観的パラメータから、術後の予後など根幹に関わるデータを予測することができればコストパフォーマンスの高い非常に有意義な検査に様変わりすることができ、24時間心電図はその可能性を大いに秘めている。日進月歩で医療機器の技術革新が進む中、ホルター心電図のような古典的検査にスポットライトを当てることに本研究の特色があると考えている。
 また、一般的にAFに対するCA後の予後不良因子と考えられている術後の頻発性PACだが、むしろ、心筋へのダメージから生じた強い炎症反応=有効焼灼を反映したものだとしたら、必ずしも予後の悪いものと言えないのではないかという逆説的仮説に基づいている点で過去に類を見ない研究であり独創的であると考える。

Apple Watchなどスマートフォンによる不整脈のスクリーニングが広まるなかで、改めてホルター心電図に着目した研究となっています。不整脈診療にご興味をお持ちの研修医、先生方の見学、施設訪問を心よりお待ち申し上げております。
佐々木先生ならびに共同研究者の樋熊先生、笠川先生おめでとうございます。

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