当科の特色
1. 診療実績と体制
呼吸器領域では感染症、アレルギー、喫煙等様々な原因により発症する多様な疾患を取り扱います。さらに近年の高齢気社会を反映して肺がんや慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎等による死亡数も上昇傾向にあり、一方呼吸器専門医は十分な数が確保しているとは言えない状況であり、呼吸器疾患の診療に携わる医師の育成が必要とされています。
呼吸器内科病棟はチームリーダーの下に、2-3名の助教、任期付助教、大学院生がついて班を構成し、屋根瓦方式で患者の診察・指導を行う体制をとっています。初期臨床研修医、BSL病棟実習生(5・6年生)もこれらの班の中で診察に加わります。
受け持つ疾患は多岐にわたりますが、とくに肺がん症例は増加しつつあり、診断のための気管支鏡検査,化学療法,放射線療法,気道狭窄のためのインターベンション(平成29年度43症例)など,多数の症例を経験することができます。その他,COPDの急性増悪、間質性肺炎、気胸(難治性気胸にはEWSを用いた気管支塞栓療法を実施しています)、気管支喘息、胸膜炎(胸腔鏡検査:平成29年度12症例)、など呼吸器疾患のほぼすべてを網羅しています。



特に当科が力を入れている気管支鏡(超音波を用いた最先端の手技は年間約160症例実施しています)、呼吸器インターベンション(本邦の第一人者の宮澤特任教授が指導されます)では班の枠を超えて全体が協力して行っています。


また平成28年より気管支喘息に対する気管支鏡温熱療法を開始し(平成29年度までで13症例)、肺気腫に対する気管支鏡的肺容量減量術の治験にも参加、2例実施(バルブ1例、コイル1例。後者は日本初)するなど、呼吸器インターベンションの分野では本邦でも最先端の治療を研修することができます。


2. 教育プログラム
各班は定期的にカンファレンスを行うとともに,入院患者全員について病棟回診や症例検討会で診断、治療の方針の確認を行い、各々の症例に関する情報の共有を行います。
カンファレンス
・Cancer board(呼吸器外科、放射線科との合同カンファレンス)
・呼吸器内科カンファレンス(全ての入院患者のカンファレンス)
・気管支鏡カンファレンス(検査日に行うカンファレンス)
・リサーチカンファレンス(大学院、および臨床研究のカンファレンス)
3. 入院症例数
症例数は常に多く、平均50-60症例(冬季には70症例に達することもある)
扱う疾患:1.感染症および炎症性疾患、2.COPD、3気管支・細気管支の疾患、4.アレルギー性疾患、5.特発性間質性肺炎、6.急性呼吸窮迫症候群・急性肺損傷、7.薬剤・化学物質・放射線による肺障害、8.全身性疾患に伴う肺病変、9.じん肺症、10.肺循環障害、11.呼吸器新生物、12.呼吸調節障害、13.呼吸不全、14.胸膜疾患、など。
4. 主な一週間のスケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
AM | 病棟診療 | 教授回診 インターベンション |
気管支鏡カンファレンス | インターベンション | 気管支鏡カンファレンス |
PM | Cancer board
呼吸器内科カンファレンス |
病棟診療 | 気管支鏡検査
リサーチカンファレンス |
病棟診療 | 気管支鏡検査 |
5. 診療風景
6. 医局員の主な研修医療機関(初期臨床研修を含む)と資格
聖マリアンナ医科大学・大学病院、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院
川崎市立多摩病院
国際医療福祉大学熱海病院
静岡医療センター
鎌田クリニック、新百合ケ丘石田クリニック
7. 専門医及び認定医
臨床研修指導医(4)
日本内科学会認定内科医(14)・総合内科専門医(6)・指導医(9)
日本呼吸器学会呼吸器専門医(9)・指導医(4)
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医(8)・気管支鏡指導医(5)
日本がん治療認定医機構がん治療認定医(2)・暫定教育医(1)
8. 関わりの深い診療科
1. リウマチ・アレルギー・膠原病内科
膠原病肺、血管炎、再発性多発軟骨炎の診療をリウマチ・アレルギー・膠原病内科と協力して行っています。
2. 循環器内科
心臓-呼吸器は密接に関わっており、肺炎、心不全の合併症例において双方の視点から診療にあたっています。
3. 代謝・内分泌内科
ステロイド治療による糖尿病のコントロールを代謝・内分泌内科に協力いただきながら診療を行っています。
4. 腎臓・高血圧内科
肺がんに合併した電解質異常や腎機能障害について腎臓高血圧内科と協力して行っています。
5. 耳鼻咽喉科
気道病変、副鼻腔炎などの上気道と下気道に関わる疾患や気管切開術に対して耳鼻咽喉科に協力していただきながら診療を行っています。