当科の特色
1.診療実績と体制
血液・腫瘍内科では白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液悪性腫瘍だけではなく、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、凝固異常などの良性疾患も扱っております。また血液悪性疾患に対する根治的治療として同種造血幹細胞移植がありますが、2020年より当施設でも施行できる様になりました。
当科の最大の特徴として、希少難治性リンパ系腫瘍である慢性活動性EBウイルス感染症の病態解明と治療法の開発に力を入れており、2019年1月からは「慢性活動性EBウイルス感染症を対象としたJAK1/2阻害剤ルキソリチニブの医師主導治験(https://www.amed.go.jp/news/release_20190109.html)を実施し、世界のパイオニアとして治療および研究を牽引しております。
2.教育プログラム
「血液内科医である前に、内科医であれ!」

血液疾患は血球異常に伴う合併症を伴います。例えば免疫異常に伴う感染症、貧血に伴うふらつき、血小板低下や凝固異常に伴う出血などがあります。また治療は抗がん剤、免疫抑制剤、抗菌薬など、様々な薬剤を併用し治療にあたることになります。この様な背景から、合併症の鑑別と治療は常に念頭におく事が重要です。血液疾患は症例数も少なく専門性の高い分野ではありますが、診療を通して専門性にとらわれない「内科医」としての技量を身に付ける事ができる事は皆さんの将来に非常に有用であると考えます。加えて様々な合併症に遭遇できるという事はJ-OSLERの症例取得にも有利であることに繋がります。また大学病院で研修を行う以上、学会発表や論文作成も重要です。日本血液学会等への発表も積極的に指導し、毎年研修医の先生方から多くの報告を出していただいています。
・血液疾患の診断から治療まで、全てを学ぶ事ができる!
冒頭にも述べた様に、白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液悪性腫瘍を多く経験できるため、様々な化学療法の経験を積む事ができます。また再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、凝固異常などの良性疾患も十分な件数の診療にあたる事ができます。加えて慢性活動性EBウイルス感染症の様な希少疾患や、同種造血幹細胞移植の様なダイナミックな治療も経験可能です。当院の特徴として、救急外来や近隣の医療機関から血液内科におけるcommon diseaseの紹介を受ける事が多々あります。内科医として習得すべき鉄欠乏性貧血、ビタミン欠乏性貧血等も診療にあたる事が可能です。
・合併症を通して、内科医としての実力を磨く!
血液悪性腫瘍における化学療法では、無菌室管理を必要とする好中球抑制を経験する事ができます。そのため他分野の化学療法と比較し、多くの発熱性好中球減少症を経験する事ができます。また溶血性貧血等ではステロイドやカルシニューリン阻害薬を頻繁に使用するため、細菌感染に留まらず、真菌、ウイルス感染症も知見を深める事が可能です。
また多剤併用治療は腎臓、肝臓などの臓器障害が合併症する事があります。薬剤の副作用、臓器障害の鑑別と治療を実戦の中で系統立てて学ぶ事ができます。
内科医として遭遇する合併症はおおよそ経験する事が可能であり、そのマネジメントを学ぶ事ができるのは血液内科の特徴であると考えます。
・内科手技の宝庫!内科医が行う手技を習得できる!
頻回の点滴や24時間持続投与を必要とする化学療法のため、中心静脈カテーテルの挿入件数は非常に多いと思われます。また抗がん剤の髄液注射があるため、腰椎穿刺も多数経験可能です。骨髄穿刺・生検は当科のみで行われる検査であり、この様な特殊処置を経験する事も可能です。
・最高の医療は仲間の力が必要!チーム医療を学ぶ!
血液疾患の闘病には化学療法、免疫抑制剤、造血幹細胞移植が必要になります。血液疾患という特殊性、長期の治療、その後の社会復帰など患者さんの闘病を支えるためには、薬剤の知識、精神・身体的なケア、栄養とリハビリ、治療環境の整備、治療費用のサポート等あげればキリがありません。これらを全て医師だけで対応する事はできるでしょうか?これは非常に厳しいと思います。当科ではコメディカルのスタッフも診療に積極的に介入していただいています。造血幹細胞移植患者や重症患者に関しては他職種カンファも行い、スタッフ全員で治療するスタンスを心がけております。当科をローテーションする事で、チーム医療のあり方を学ぶ事ができます。
・自分が学んだ事を伝える!学会発表をしてみよう!
日々の診療で感じたクリニカルクエスチョンはどの様に解決したら良いでしょうか。教科書を読む、文献を調べる、エキスパートオピニオンを得る等いろいろあると思います。知識を蓄えることも大切ですが、アウトプットを行う事で、より理解を深める事ができると考えております。なのでこれらの経験を是非発表してみましょう!自分たちだけの視点の思考は、どうしても偏りがちになってしまいます。それを発表し全国の仲間と共有する事で新しい知見を生み、自身の技術向上につなげる事ができます。症例発表、臨床データの解析、基礎実験、どれも当科では学会発表の対応が可能です。希望があれば論文作成の指導もします。
3.一週間のスケジュール
朝カンファレンス 月、水〜金曜日 8:30-9:00
医局会 火曜日 8:30-9:00
医局全体カンファレンス 火曜日 14:00-17:00
回診 月〜金曜日 朝カンファレンス後
4.医局員の専門医、および認定医取得状況
日本内科学会総合内科専門医 7人
日本内科学会内科認定医 12人
日本血液学会血液専門医 10人
造血細胞移植学会認定医 3人
日本がん治療認定医機構認定医 6人
5.関わりの深い診療科
・病理学
悪性リンパ腫の診断は病理医が行います。適切な診断のために連携は必須です。
・耳鼻科
頭頸部のリンパ節腫脹で紹介されます。悪性リンパ腫診断のために生検をお願いする事があります。
・IVR
がんの診断は組織診断が必須です。検体採取のため、IVRに依頼しCTガイド下生検をお願いする事が多々あります。また鎖骨下静脈からのCV挿入は合併症が多いため、IVRに依頼し挿入していただいています。
・リウマチ・膠原病・アレルギー内科
長期の免疫抑制剤投与に伴う二次的な悪性リンパ腫やEBウイルスによるリンパ増殖性疾患、膠原病の病勢による血球貪食症候群や特発性血小板減少性紫斑病に関して、治療連携を行う事があります。
・腎臓・高血圧内科
多発性骨髄腫は腎障害を契機に発見される事があります。また薬剤性腎障害のときには連携して治療にあたります。
・消化器内科
造血幹細胞移植の合併症として急性移植片対宿主病という疾患があります。この疾患は消化管によく症状が出るため、診断目的で内視鏡を依頼する事があります。
血液・腫瘍内科の紹介ページ 詳しくはこちらへ⇒http://hema.marianna-u.ac.jp/
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